株式会社シェイクは「イキイキと働く人が一人でも多く増えてほしい。個人から、会社から、もっと日本を元気にしたい」をミッションに掲げ、「リーダーシップ開発」を強みとして、各社の人材育成や組織開発に寄与しています。
スキルアップを図るだけでなく、一人一人の内省や気づきを重視する研修を行いたいと思う一方で、コロナ禍によるオンライン化でその難しさを感じていました。こうした課題解決のツールの一つとして、チームタクトを導入。コンサルタントの飯島智子様、塚本あみ様、三浦悠介様に、実際のチームタクトの活用内容とその成果などについて伺いました。
概要
- オンライン研修においても、参加者同士の相互学習を促すような仕組みを作りたいと考えていた
- 共同閲覧モードで「実践の振り返り」や「事後課題ワークシート」などを参加者同士で確認することで 対話の機会が増え、刺激を与え合い、行動変容につながった
- 研修資料や参加者情報をチームタクトで一元管理することで、運営の業務効率化が図られた
- 弱音を吐きあえる場となり、「できるところから始めよう」と前向きに一歩を踏み出す参加者が多かった
- 自由な学び場づくりなど目標に応じたチームタクトの活用が目標
参加者同士の刺激を促すオンライン研修を求めて
― コロナ禍でオンライン研修を実施するにあたり、どのような課題を抱えていたか教えてください。
飯島:コロナ禍で研修がオンラインとなり、参加者が互いに刺激を受ける機会が少なくなっていると感じていました。例えば、対面の研修であれば、隣のグループがどのような話をしているのかを漏れ聞くことができます。
「こんな話で盛り上がっているな」「自分のグループでは出ていない視点で話をしているな」と感じ取れます。しかし、オンラインの場合には、参加者の話し合いがグループの中だけで閉じてしまいがちです。また、他のメンバーの研修課題などのアウトプットを見ようと思うと、個々人のフォルダにわざわざアクセスせねばならず、参加者同士の交流を促進するのはハードルが高いと感じていました。
そこでチームタクトを導入すれば、研修参加者同士が共同閲覧モードでアウトプットを確認し合い、刺激や対話が生まれる環境となりやすいのではないかと期待しました。
― 参加者同士の学び合いを大事にしたいと考えていたのですね。
飯島:その通りです。弊社の人材育成は、「内省」というキーワードを大事にしています。内省は一人で行うよりも、他者と行っていく方が深まっていきます。他者の内省を見ることで、「自分と同じだな」「この人の気づきは素敵だな」といった学びがあり、もう一度自分の振り返りに戻れば、さらに内省が深まっていく。
対面であっても、オンラインであっても、こうした弊社の研修の強みはブラさずに大事にしたいと考えています。
他者からの刺激を活性化して行動変容にまでつながった管理職向け研修
― 実際にどのような研修にチームタクトを活用しましたか。
三浦:1000名規模の部長職や課長職を対象とした研修にチームタクトを活用しました。一般的にマネジメント職への研修は行動変容につなげることが難しいといわれています。その前提を覆すような研修を行いたいと考えていました。
具体的な施策としては、面談実施後に部下にアンケートを取り、匿名で上司の変化について記述してもらいました。部長職や課長職の方々を30名ずつのグループに分けて、その部下たちからまとめてフィードバックを得ているので、正確には誰に対しての指摘かはわかりません。しかし、「1on1なのに一方的に話された」「顔が怖くて話にくかった」といったコメントを目の当たりにすると、「もしかして私のことかもしれない」と自分ごととして捉え、少しずつ行動変容への意欲を見せるようになっていきました。
チームタクトで全ての課題を配信し、参加者には「実践の振り返り」や「事後課題ワークシート」などを記述してもらいました。
共同閲覧モードを使い、他の参加者の記述内容を見られるようにし、「こんなふうに頑張っているならば、自分も変わらなければ」と背中を押される参加者の様子が見て取れました。
―ファシリテーターや講師にとって、チームタクトを活用するメリットはありましたか。
三浦:複数回連続の研修の際には、ファシリテーターはこれまでの参加者の取り組み状況 を確認してから新たな研修に臨みます。その際に、取り組みの履歴や参加者情報がバラバラに管理されていると、手間が増えてしまいます。それに対してチームタクトは、一覧性がとても高いので、準備の効率化が図られていると感じています。
飯島:オンライン研修で何が一番困るかといえば、参加者が何を書いているのか、手元が確認できないということです。対面であれば、机の間を回って、ワークシートにどれだけ書けているかを踏まえて進行でき、手が止まっている方がいれば適切なサポートをすることもできます。しかし、オンラインではそうした把握が不可能でした。そのため、誰かを指名して発表してもらうような活動のハードルが非常に上がってしまったのです。
そんなときにチームタクトを用いれば、参加者の取り組み状況を一覧で見て確認することができます。今回の管理職向けの研修であれば、よい点はさらに伸ばし、改善点は直していく必要があります。ファシリテーターとしては、参加者全体で思考を深めていけるようなコメントをすくい上げていきたいもの。そこで、チームタクトの画面を確認しながら、そうしたコメントの発表を促し、よい学びの場となるように取り組んでいきました。
― 参加者へのサポートにも役立てましたか。
飯島:チームタクトは、参加者の画面を一覧化して、すぐに取り掛かっているのか、なかなか筆が進まないのかといったことを見てとれることも利点ですよね。サポートが必要そうな方にはお声をかけたり、その方がいらっしゃるグループワークに加わったりして、必要なフォローがしやすくなったと感じます。
― チームタクトを活用する、運営面でのメリットはありましたか。
三浦:3ケタを超える参加者がいらっしゃる研修だったので、情報をどう管理するかは大きな課題でした。解決策として、こちらからの配信資料や受講者が取り組んできたアウトプットをチームタクトで一元管理したのです。その結果、参加者からの問い合わせもとても少なく、研修実施を取りまとめる事務局の方の負担軽減につながったと感じています。
上司の行動変容を部下も高く評価
― チームタクトを活用した研修の成果を教えてください。
三浦:今回の研修では、心理的安全性やパフォーマンスマネジメントといった項目で測定する「学習する職場チェックシート」をチームタクトで配信し、事前と事後でどう自分を含む職場が変化したかを評価しました。その結果、ポジティブに変化したと回答する参加者が63%にも上りました。チームタクトでスムーズな配信と管理ができたことで、成果を可視化し効果測定ができるようになったと感じています。
― 素晴らしいですね。実際に部下の方々も上司の変化を感じたのでしょうか。
三浦:部下の方に「この3か月間で上司の方にポジティブな変化がありましたか」と尋ねたところ、44%の方が「ポジティブな変化があった」と回答しました。もちろん、元々よい上司と感じていて、そこから変化がないというケースもあるかもしれませんが、研修が行動変容までつながっている管理職が多くいらっしゃったことには手応えを感じました。具体的にどのような行動変容が起きたか、部下からの定性的なコメントを見ていくと、「1on1の機会を増やした」や「自分から発信するようになった」などが挙げられていました。
― こうした成果はどのような要因によって引き起こされたと思いますか。
三浦:大きくは2つの要因があると考えています。1つ目は、部下からのフィードバックが奏功したといえるでしょう。改善点だけでなく、「この行動は嬉しかった」といったポジティブな点も伝えていったことで、前向きによい行動を増やしていけたのではないでしょうか。
2つ目は、今回の研修は行動変容にまでつなげるということを重要な軸としていたので、実践の振り返りをチームタクトで必ずアップロードしてもらうようにしていました。誰が何をしているのかが可視化され、研修参加者同士で見合うことで、よい刺激を与え合えたことが効果的だったのではないかと推察しています。
飯島:悩みを共有できた、ということも大きかったのではないかと思います。
研修の場などで挙手して発言する人は、課題に対して自信を持って取り組んでいるケースが多いものです。そうした方々ばかりの発言が続けば、大多数の参加者が「あの人は特別だからね」という思いを抱いたとしてもおかしくありません。
まして、管理職の方は、自分から「これができていない」「ここに悩みを抱えている」といったことは打ち明けにくいものです。できていることではなく、同じ立場の人がそうした弱音を吐露してれば、「自分だけではないのだ」と安心し、「できるところからスタートしよう」と一歩を踏み出す気持ちが湧いてくると思います。
チームタクトでそれぞれの取り組みや思い、悩みを共有したことは、こうしたポジティブな変化を誘発する効果があったのではないでしょうか。
チームタクトでこれからチャレンジしたいこと
― チームタクトを使って、今後取り組んでみたいことを教えてください。
三浦:今回の研修では、ファシリテーターが参加者の回答を紹介したり、コメントをし合いましょうと促していましたが、今後はもっと自由に学び合えるような仕組みを作りたいと思っています。チームタクトを使えば、さらに自発的な学びを誘発することが可能なはずだと感じています。
飯島:チームタクト上に集まって自発的な学習会を開くような仕組みを作れたらいいなと思っています。かっちりとした数時間の研修に用いることももちろん重要ですが、例えば新入社員などは「こんな本を読んだよ」「こんな話を聞いて参考になった」などカジュアルに楽しくコミュニケーションを取って学べるような場を求めているのではないでしょうか。これからは、チームタクトの活用の枠を一層広げていきたいですね。
塚本:私は地方におり、リモートで勤務しているのですが、これまでオフィスで何気なく交わされていた「最近こんなことを知ったよ」「新しくこれを学んだ」といった会話をキャッチすることが難しくなったことに寂しさを感じていました。
例えば、自分のノートや日報などをチームタクトへ集約して、メンバーに見える化できると、ゆるやかにつながることができ、物理的に会えなくても刺激を与え合う仕組みを作っていくことができるのではないかと感じています。
飯島:コロナ禍で研修がオンライン化された当初は、リモートでどう学ぶかに多くの人が注力していました。しかし、現在は研修で「何を目指すのか」や「何を学んで職場にどう活かすのか」といった育成の目的をどのように達成するのかに立ち戻ってきているように思います。「How」ではなく、「What」や「Why」が、改めて問われているのです。対面にするのかオンラインにするのか、あるいはどのようなツールをどう使うのかは、育成の目的に応じて柔軟に変えていくべきです。例えば、キャリア自律を促す研修とロジカルシンキングを養う研修とではチームタクトの使い方も大きく異なるはずです。これからも、目的や目標に応じて、チームタクトを効果的に活用していきたいと考えています。