HR市場の変化とともに、2022年4月、新たな中期計画をスタートさせたエン・ジャパン株式会社。「事業創造変革リーダーの育成が重要」という認識のもと、経営層および次期経営層向けに人材育成プログラム「exe.(エグゼ)」の展開を始めました。
プロジェクトを推進した、同社 人財戦略室 室長 平原恒作さんに、ワークショップ後の変化、チームタクトの活用方法などについて伺いました。
概要
<課題>
- 事業創造・変革を行う次世代リーダーを育成するために、難易度の高いプログラムを作りたい。
<活用成果>
- 参加者の事業改善やマインドセットの変化に寄与。
- 参加者のアウトプットにばらつきが減り、クオリティーが底上げされた。
<チームタクト活用のポイント>
- 相互閲覧によって競争心・向上心を高め、学び合いを促進。
- 閲覧ログで、参加者がどの程度コメントやリアクションをしているかを把握。
- 今まで見えなかった、学習への姿勢が可視化され強みや課題を発見。
リーダーを育成する学び合いのプログラム「exe.(エグゼ)」
―exe.についてご説明いただけますか?
2022年4月に立てた中期経営計画の2年目の重要テーマとして、事業責任者クラスの人材育成に取り組んでいます。昨今、人材マーケットが複雑に多様化する中、新たな事業創出や事業変革が必要になっています。事業を変革創造できるリーダー育成を目的に始めたのが「exe.」です。
当社は営業主体の若手が多い会社だったので、内定者研修や新人研修、マネージャー研修などはしっかりと自社で展開してきました。しかし、今回のリーダー育成プログラムを作るには、自社のこれまでのノウハウだけでは足りないと考え、リーダー育成にも精通している中尾マネジメント研究所とともに行うことにしました。外部パートナーの知見を借りて、脳にも精神的にも負荷をかけて乗り越えて欲しいと思ったのです。
具体的には、実際に当社で展開している各事業の変革について、個人ないしチームで役員に向けてプレゼンすることをゴールに置いています。最後のプレゼンをチームで行なう場合でも、途中のアウトプットは個人で出してもらっていました。
exe.というネーミングは、en × en、つまりエン・ジャパンの社員同士の学び合いが重要であるという想いから付けました。
ワークショップのアウトプットに活用 チームタクトで学び合いを促進
―リーダー育成でどのようにチームタクトを使っていますか?
課題図書や、中尾マネジメント研究所の中尾隆一郎さんによるセミナー、当社事業の成功事例など、プログラム内でさまざまなインプットの機会を提供しています。各インプットに対するアウトプットにチームタクトを活用しています。インプットによって得た学びや自身の考えなどをチームタクトの独自のフォーマットに記入し、参加者同士で共有するのです。
他者のシートを見て、リアクションやコメントをすることも促しています。積極的にコメントする人、他者の課題に対して「いいね」や「コメント」などのリアクションをしている人もいます。毎回全員分を見ている人もいれば、自分の課題を提出するだけの人もいるなど、チームタクト上でどのように関わりあっているかがわかります。
参加者同士だけでなく、中尾さんや経営層、事務局もシートを見ています。事務局は「いいね」の反応に留めていますが、中尾さんからは全員にコメントをいただいています。他者のシートへのコメントを読むことも学びになると考えており、是非見てもらいたいと思っています。チームタクトは自分に対してのコメントだけでなく、他者へのコメントも見やすくていいですね。
―他者のシートを見ている人とそうでない人は、アウトプットに差がありますか?
直接の因果関係があるかはわかりませんが、よく見ている参加者数名は、アウトプットの質が高いと感じています。研修に対しての意欲が高いからアウトプットの質も高く、他者のシートからも学ぼうとしているのだと思います。人によって、気持ちのばらつきはあると思います。
―チームタクトでアウトプットすることの良さはどのようなことですか?
一番の良さは、1つのサイトに集約されていることです。
これまでの、フォルダーを作ってファイルで提出する形式と比べ、アクセスの簡易性が高いと感じます。自分のシートを書くときに、一覧に他者のシートがあるため、心理的に気軽に見られるのではないでしょうか。学び合いにおいて、他者のシートをすぐに見られることは非常に好影響があると考えています。
また、意識的に見に行かなくても、一覧ページをパッと見るだけで、他者のシートに書いてある文量や内容がわかります。参加者相互にシートを見られることが良い意味でプレッシャーとなり、競争心と向上心が芽生えているようです。良いものを出そうという意識が生まれ、アウトプットのクオリティーのボーダーが上がっているのです。
インタラクティブに閲覧することで、プラスの相互作用が生じていることは素晴らしいことだと思います。1シーズンに3〜4回アウトプットを行い、回を重ねるごとにアウトプットの量やクオリティーが向上していることがわかります。
チームタクト導入前の研修も終了後のアウトプットは行っていましたが、みんなで見合ってはいませんでした。チームタクトを使うようになり、以前と比べてボリュームやクオリティーのばらつきがなくなりました。学び合いに繋がっているといえるでしょう。
中尾さんから毎回アウトプットへのフィードバックをいただけることも、exe.の大きなポイントでした。外部講師と連携するにあたって、セキュリティ面の不安を持たずにコミュニケーションをとれたことも良かったと思います。私たちとは異なる視点からフィードバックをいただき、学びが深まりました。講師の中尾さんも、今回のワークショップでは、チームタクトを使いリアルタイムに共有が可能だったため進捗に合わせてサポートしやすかったとおっしゃられていました。
個人の強みや課題を発見できる資料としても活用 学びへの姿勢が現れる
―ワークショップのアウトプット以外でもチームタクトを活用していますか?
チームタクトに書かれたアウトプットの内容や、参加への姿勢を見ることで、個人の強みや課題が見えてきます。チームだけではなく、個人でアウトプットしてもらっているのは、そのような目的もあります。
また、アーカイブとしてもチームタクトを使っています。中尾さんからの資料もチームタクト内に置いています。
複数のフォルダーを用意したり、メールを送ったりせずに、研修に関することがチームタクトで完結できているのはありがたいですね。
事業改善やマインドセットの変化に寄与
―exe.によって、どのような成果が出ていますか?
参加者から、頑張ってアウトプットしようとする意識を持つようになったという意見を聞きます。他者のシートを見て、自分ももっと頑張ろうと思うようです。
Season1は、事業責任者が自身の担当事業について考えるものでした。ワークショップ終了後、実際の事業の中での改善やアクションに繋がっています。
Season2では、参加者が最後のプレゼン後、悔しがる姿がありました。「もっとできると思っていた」「現実を突きつけられた」などの声があがっていたのが印象的です。不完全燃焼だったようですが、それを機にマインドセットの変化を感じられました。
―成長を促すために事務局がフォローなどしていましたか?
締め切り前後にアウトプットが書かれているかを確認し、未提出者に声をかけていました。ただ、最上のアウトプットを出すことが目的ではないため、それほど深追いはしていません。当人の意思でどのようなアウトプットが出せるのかを見るのも大事ですから。
また、中尾さんからのフィードバックに反応がないときにも、返信するように声をかけることがありました。
閲覧ログで、参加者がどの程度コメントやリアクションをしているかも見ています。
今まで見えなかった、学習への姿勢が可視化されることも、チームタクトの魅力だと思います。
学び合い、チーム力を高めたい組織におすすめ
―チームタクトをどのような組織や企業に勧めたいと思いますか?
学び合いによりチーム力を高めたい組織に良いと思います。
チームタクトでは他者のシートが自然と目に入り、競争心が芽生え、向上心に繋がります。当社もまだ十分にできてはいませんが、みんなで見合い、コメントし合うことを徹底すれば、より学び合いの効果が高まるのではないでしょうか。
互いに見合う環境をつくることでアウトプットのボーダーラインが上がるため、チームとしての力も上がると思います。