<お話を伺った方>
株式会社Brilliant Future Consulting代表 石原孝尚さん
株式会社Brilliant Future Consulting運営 野々山直美さん

女子プロサッカーリーグで史上初の4冠を達成し、アメリカやオーストラリアのトップチームで経験を積んできた石原孝尚監督は「HappyFirst®」という概念を提唱し、「HappyFirst®カレッジ」を開講しています。このカレッジでは、仲間の今と未来を大切にする人を理想のリーダー像として描き、参加者は自分らしいリーダーシップを継続的に磨いています。

株式会社Brilliant Future Consulting代表の石原孝尚さん、運営責任者の野々山直美さんに、HappyFirs®の誕生秘話、チームタクトの活用方法についてお聞きしました。

スケジュール概要
2018年11月2日 株式会社Brilliant Future Consulting 設立
2019年からオンラインスクール事業を展開
2019年10月より半年間  石原塾
2020年1月27日〜現在 Happy First School ※石原さんは5期まで
2021年7月7日〜現在 Happy First College

概要

<課題>

  • コミュニティー運営のメンバー同士の関係構築の促進をしたい
  • 決まったやり方ではなく、個性を出した振り返りを行いたい

<活用成果>

  • 自分らしいリーダーシップの形成に寄与
  • メンバー同士のコミュニケーションが促進され、自分では気づきにくい強みを認識できた

<チームタクト活用のポイント>

  • 直感的に操作で頭の中を可視化し、他者と共有
  • スキマ時間で簡単に記述状況・内容を確認

一人ひとりの幸せが先、最高の結果は後からついてくるHappy First®を貫く

株式会社Brilliant Future Consultingについてご紹介ください。

野々山:Brilliant Future Consulting(以下、BFC)は、プロサッカー石原孝尚監督の多彩な活動を提供する株式会社です。業務内容は、サッカー監督、解説、企業講演、自治体アドバイザー、オンラインスクール事業、出版業です。

石原:2018年、浦和レッズレディースの監督を退任して、BFCを立ち上げました。アメリカで女子サッカー監督をしていたころから、現地の国際的ホテルチェーンや大手メーカーなどのダイバーシティ研修や講演の依頼を受けていたためです。現在も、湘南ベルマーレU15監督をしながら、企業や自治体向けの講演や研修を行っています。

オンラインスクール事業については、海外からでも開催できるように、ありえる楽考というコミュニティーを運営する鈴木利和さんのお力を借りて「石原塾」としてスタートしました。その後、振り返りの場として「HappyFirst®スクール」、子供向けの「HappyFirst®スクールfor kids」、リーダーシップに関心のある人を対象にした「HappyFirst®カレッジ(以下、HFC)」と展開してきました。

お互いが自分の強みを発揮し、弱いところは助け合う、共助の社会、助け合う社会の啓発をしていきたいと思っています。

Happy First®の意味と誕生の経緯を教えてください。

石原:HappyFirst®は夢中マインド、ご機嫌マインドな状態、一人ひとりが笑顔を浮かべている状況を表しています。プロサッカー監督の経験上、選手や社員がHappyFirst®になって一番良い状態でいるとき、自ずと結果は出ると確信しています。

Happy First®は、Essential Managemen School (以下、EMS)で共に学んだサイボウズの青野慶久社長、EMS西條剛央代表との対話の中で生まれました。青野さんと、「売上、勝利が先ではなく、社員一人ひとりの成長と幸せが先」と意気投合したのです。西條さんが「Happy First Achievementだね」と表現してくださったことを機に、HappyFirst®を商標登録しました。

Happy First Achievementを「一人ひとりを幸せにすることの先に最高の結果が自ずとついてくる」と定義しています。「勝利のために、個人を犠牲にする」「売上のために、社員の幸せを後回しにする」という「犠牲のマネジメント」と真逆の考え方なのです。

”自分と仲間の今も未来も幸せにする”リーダーシップを磨くグループコーチング

HFCについてご説明ください。

石原:企業研修の際に、社員の活気の停滞、リモートワークによる会社への帰属意識の低下、職場の関係性づくりの難しさといった共通の相談を受けるようになっていました。悩みを一人で抱えないで、相互交流しながら解決に向かう場が必要だと感じました。そこで、リーダー層向けのグループリフレクションとして、HFCを開講したのです。

HFCは「自分らしいリーダーシップ」を一緒に磨いていく場です。HappyFirst®なリーダーは仲間の今も未来も大切にする人です。一人ひとりの好きや得意、強みを理解し大事にする仲間づくりができるリーダーの育成を目指しています。

HFCにはどのような人が参加していますか?

石原:20代から40代の多様なリーダー層の方が参加しています。振り返りをし、ポジティブな人たちからのフィードバックや感想から影響を受けたい人たちです。

HFCには紹介でしか入れないようにしています。コミュニティーを見つけにくい分、気持ちが乗った状態で入ってもらえるからです。グループリフレクションは人に影響される活動なので、ポジティブに参加しようという人で構成されることが大事だと思っています。

野々山:参加者の皆さんは、石原さんの言葉も借りて自分の状態をよりしっくりくる言葉で表せることを期待しています。石原さんは、参加者同士ではなかなか気づけない固定観念を外しながら、その人に合った言葉を返してくれるのです。石原さん自身に「こうすべき」という前提がないのだと思います。

感情ベースの振り返りで自己認識をアップデート 直感を場に置くイメージで対話

HFCでの、グループコーチングの特徴と運営方法をご説明ください。

石原:HFCは、出来事ベースではなく感情ベースで振り返りを行っています。日々の心の変化を辿り、自分の傾向と価値観を知り、自分のbeingとdoingをアップデートしてもらいます。同じ出来事であっても、感じ方は一人ひとり異なります。自分一人で内省するのとは違い、他者の多様な感じ方を聴くことで、新たな気づきを得て自己理解が深まるのです。

ゴール逆算型ではないので、達成日の設定もありません。自分がどうしていきたいか、どのように時間を使っていきたいか、どのような人たちと一緒にいたいかが見えてくる状況を継続することに価値を置いています。

野々山:1期3カ月で、通称「朝練」と呼ばれる、週に1回朝1時間の振り返りをします。4人1組のグループリフレクションを石原さんのファシリテーションで行います。参加者は、最初の公募以外は紹介のみです。現在4年目の13期(4年目)を開講中で、9割がリピートの参加者です。Happy First®での繋がりは強く、継続する人がほとんどです。

石原:参加者は、その人が気になるタイミングで参加の可否を判断しています。しっくりくるタイミングで参加してくる印象です。

朝6時、7時、9時のクラスがあり、私はファシリテーターとして全クラスに参加します。

ふりかえりシート

チームタクトで「ふりかえりシート」を配布し、being、 doing、 action、 感じたことを記入してもらっています。こちらからのシートのフォーマットが必須ということではなく、各自で直感的に湧き出たものを置くようなイメージで準備してもらっています。

コミュニティー運営で大事にしていること、モチベーションを維持しながら継続させるための工夫を教えてください。

石原:HFCでは、毎回ファシリテーションをしながら、4色使いでメモを取っています。

黒:その人が言っている事実
青:普遍的なこと、本質的なこと
赤:その人の話を聴いて自分もこうしてみたいと思ったこと
緑:フィードバックしたいと思ったこと

青色でメモをしているのは、参加者の皆さんから聞いたことの抽象化で、これが金言と言われています。

赤色は、自分事になったことです。相手にとっては一番の自己肯定になる部分です。

それぞれが思ったことをテーブルに置くイメージを大事にしています。どれを持って帰るかは参加者次第です。アドバイスは必要ないと伝えています。感情ベースの場では、良かれと思って言っても、アドバイスは心理的安全性を阻害するからです。

野々山:石原さんは、他者から聴いたことの中から普遍性を見つけるのが得意です。

コミュニティーづくりに相性抜群のチームタクト

チームタクトを導入することにした経緯を教えてください。

石原:コードタクト後藤社長との出会いがきっかけです。EMSで自分自身もスクールタクトで協働学習を経験して、使いやすさを実感しました。

HFSはスクールタクト、HFCはチームタクトを利用してきました。今思えば、コードタクト社のサービス展開の隣りで共に成長してきたように思います。

最初から、特段の説明がなくてもストレスなく使えることが、価値だと思います。

継続的に長期にわたって利用されていますが、チームタクトにはどのようなメリットがありますか。

石原:大きく分けると2つのメリットがあると思います。

1つめは、直感的に編集しやすいことです。手書きもできて自由度が高いので、自分のイメージや頭の中に浮かんだものを見える形に落とし込みやすいのです。参加者それぞれのオリジナリティー溢れるシートに、その人らしさが出ていると感じます。やりながら自分らしさが出てくることが大事なので、書き方のアドバイスはしないようにしています。

もう1つのメリットは、閲覧のしやすさです。朝練前にチームタクトを見てから参加したり、終わってからまた見たり、非同期で誰でも自分のベストタイミングで見れるので使いやすいのです。途中から入ってきた人や新規の人も自然に閲覧できます。過去のシートに遡って個人の変化を見返したり、参考にし合うことも容易です。参加者間で、「今週は〇〇さんバージョンでやってみました」と、お互いの書き方を参考にし合っている姿も見られ、チームタクトによってコミュニケーションが促進されており素敵だと感じています。

ストレスなく当たり前に活用できて、日常に溶け込んでいることは、優れたツールだからこそとあらためて思います。使い始めた当初より、どんどん機能も改善され使いやすくなっており、コミュニティーの進化との相性の良さを感じます。チームタクトは、HFCにはなくてはならないツールです。

チームタクトをどのような組織でどのように使うと良いでしょうか。

石原:ストレスなく使えるので、企業や組織における継続的なグループリフレクションに使いやすいと思います。過去ログが残るので、振り返りにふさわしいツールです。

自分をさらけ出すことを前提にしている組織には相性抜群です。また、風通しの良いコミュニケーションにしたい組織にも良いと思います。多様な考え方を一覧できるチームタクトならではの魅力を最大限に活かせるはずです。

チームメンバーが正解を持つ時代にふさわしい場づくり

今後の目標やこれから取り組みたいこと(今後どのような仕組みがあると面白いか)

石原:もし可能であれば、チームタクトでグループリフレクションを実施しているほかのコミュニティーの方々がどのような取り組みをされているのか、期間限定で良いので閲覧してみたいです。各界で活躍している人材の振り返りは、学びの宝庫です。お互いに相乗効果が期待できるのではないでしょうか。新たに組織の枠を越えて、チームタクト活用のためのナレッジを共有できたりすると、さらに上手に活用できそうですよね。

サッカーでは、個人参加型フットサル(以下、個サル)も人気です。グループリフレクションでも、個サルのように、開催日時に集まった人で実践するタイプの場があっても面白そうです。

AIファシリのもとで、自律参加型のグループリフレクションが運営できると、機会をさらに増やしていけると思うのでそんな挑戦もしてみたいですね。