<お話を伺った方>
Pragmaworks株式会社 代表取締役 平塚哲也さん
(以下、敬称略)
お客さまの個人資産や法人資産のフィナンシャルゴールに向かって伴走する専門家集団である、Pragmaworks株式会社。資産を統合管理するツール「ポートフォリ王®」と中尾マネジメント研究所で習得したコーチングをお客さまとのコミュニケーションに取り入れた「伴走型金融メンタリング®」を開発し、これらを組み合わせた「革新的で身近なファミリーオフィス®」としてサービスを提供しています。
同社では、G-POPグループリフレクション(以下G-POPぐるり)をパートナー企業や採用候補者とも実施し、相互理解や関係性構築に活用しています。同社 代表取締役 平塚哲也さんに、G-POPぐるりの魅力やチームタクトの活用方法などについて伺いました。
概要
<課題>
- 高品質なサービスを提供するために、社員のコーチングスキルを向上させたい。
- パートナー企業や採用候補者の人となりを知りたい。
<活用成果>
- 社員のコーチングスキルが向上。
- 考えていることや得意不得意を共有でき認識のずれがなくなった。
- 独自のメンタースキル研修を構築できた。
<チームタクト活用のポイント>
- 自分のことを深く掘り下げて考えることが、セルフマネジメントの最初の一歩となっている。
- メンバーの行動や考えていることを隙間時間で把握。
社内だけでなく、パートナー企業や採用候補者とG-POPぐるりを実施
―どのような目的で社内にG-POPぐるりを導入したのですか?
2019年11月にPragmaworks株式会社を立ち上げ、資産管理のプロセスを最適化するサービスを構築したいと考えているタイミングで、G-POPの提唱者である中尾隆一郎さんに出会いました。コーチングサービスをつくりたいと思っていたときにG-POPを知り、資産管理の流れと同じだと気付きました。G-POPとコーチングについて学びたかったこと、自身のメンターがほしかったことから、中尾塾に参加したのです。
中尾塾でG-POPぐるりを始めてすぐ、私自身が変化していきました。効果を感じていたことから、すぐに自社でも行うことにしました。
G-POPぐるりは、ゴールを考え、アクションを起こし、振り返りを行うことでハイパフォーマーの習慣を取り入れることができます。毎週振り返りを行うことで、うまくいったことの再現性が高まると同時に、自身の行動の改善点に気付けます。社員がみんな、毎週1つずつ改善していけば、1年間で多くのことが改善されます。ほかに真似されないハイパフォーマンスな組織を作れるのではないかと思いました。
G-POPぐるりを行うことで、人生のゴールや日々の行動などお互いの人となりを知ることができます。問題意識や目標設定を言語化するため、どのような人なのか、どのようなことを考えているのかなどが分かるのです。
この考え方を仕事のOSとして共通にすることで、社員同士の認識のずれがなくなります。お互いにラクになるだろうという期待もありました。
―パートナー企業や採用候補者と一緒にG-POPぐるりを行っていると伺いました。
2024年10月から、当社のサービスをOEMとして組み込む予定のパートナー企業3社から8名のメンバーも、G-POPぐるりに一緒に参加していただいています。協業するために、当社の基本であるサービスのOSであるG-POPを知っていただきたいからです。
2022年に私たちのサービスにG-POPのプロセスを入れました。対顧客のプロジェクトマネジメントのOSとして、ゴールを言語化して、アクションプランを出し、資産管理というプロジェクトを長期で回していくものです。お客さまに対してメンターの役割で、適切にゴール設定し、結果のモニタリングと評価とレビューを提供します。これにより、信頼関係が構築でき、高度な投資ができるようになるのです。
このサービスを提供するために、顧客対応する社員はみんな、G-POPを金融プロフェッショナルバージョンに進化させた「メンタースキル研修」を受けます。これは、私たちがお客さまに提供してきたことを言語化して、スキルとして開発した研修です。
パートナー企業が収益を出すために、協業プロセスに、G-POPぐるり参加を組み込んでいます。G-POPぐるりは、説明するよりも体感してもらうことで理解度が深まるためです。また、一緒にG-POPぐるりを行うことで、スピーディーに信頼関係を構築できます。
自社でのG-POPぐるりは8週間行いますが、パートナー企業については協業を確定する前に1カ月間体験してもらうことにしました。1カ月間グループリフレクションに出ることは、パートナー企業にとってもお互いのことを知る機会にしていただけているのではないかと思います。このプロセスにご参加いただけない企業と協業することは、難しいと考えています。
当社に興味を持ってくれた人や一緒に仕事したいと思った人を、G-POPぐるりに誘うこともあります。一緒にG-POPぐるりに参加することで、価値観や考え方が分かります。G-POPぐるりで人となりが見えてから、業務を委託したり、採用したりするのです。これまで約80名と一緒に行い、7割程度の方とその後なんらかのかたちで一緒に仕事をしています。
G-POPプロセスを自社開発人材育成プログラムに応用
―G-POPぐるりを始めて、どのような効果がありましたか?
G-POPぐるりでは目標を立てて言語化し、目標に向かって行動するためのサイクルをまわします。
自分でやると決めたことは、結果の部分に○を付けたくなるので、主体的に行動するようになります。他者に言われたことよりも、自分で決めたからこそ、頑張ろうと思えます。仕事が忙しい中でも、シートを使って自分の頭の整理をしながら進めれば、限られた時間を有意義に使うことができ、達成感が得られます。
以前から、自分なりにやるべきことを書き出していましたが、他者からレビューしてもらえることで、自信を持って取り組めるようになりました。他者の視点でレビューをもらうことで改善点が見つかり、パフォーマンスが向上することもG-POP®ぐるりの魅力だと思います。
私自身はG-POPぐるりと中尾さんからのアドバイスで、家族との関係が仕事のパフォーマンスに影響することに気づきました。G-POPシートのPre(やると決めたこと)の欄には、家族の時間をとるように一つのトピックとして書くようになりました。

―会社や社員の方には、G-POPぐるりによって変化はありますか?
会社としては、独自の「メンタースキル研修」を開発していることが一番大きな変化です。
顧客に質の高いサービスを提供できるようになるための、人材育成プログラムです。
G-POPのプロセスを取り入れ、金融サービス用にアレンジしています。この研修とG-POPぐるりにより、社員がメンターとしてのコーチングスキルを高めています。資産管理のツールだけであれば、似たようなものが作れるかもしれません。コーチングという軸があることで、他の資産管理ツールと差別化できています。
「メンタースキル研修」では、資産管理のメンターとなるためのスキルを付けていきます。セルフマネジメントができない人は顧客のコーチングもできません。セルフマネジメントをするために、G-POPぐるりは不可欠です。

G-POPぐるりでチームタクト活用 自己紹介シートの記入により自身を深堀り
―チームタクトをどのようなことに活用していますか?
社内およびパートナー企業、採用候補者とのG-POPぐるりで使っています。ほかのツールでもシートを書くこと自体はできると思います。ただ、シェアしやすく、ほかのメンバーのシートを気軽に見られる点に大きな違いがあると考えています。
お互いに見るように喚起していませんが、ほかの参加者のシートを見ている人は多そうです。
G-POPぐるりは、1週間の行動を振り返って話す大事な機会です。考えていることを、話す前に書き出すことで、より思考を掘り下げられていると感じます。
―自己紹介のシートも皆さん活用してくださっていますね。
自己紹介シートは、中尾さんがつくっていたものをベースに一部オリジナルに変えて使っています。自己紹介シートはかなり深く書くものなので、それを見るだけでも、相手への見方が変わります。
G-POPぐるりの1回目が自己紹介です。自己紹介で、自分のことを深く掘り下げて考えることが、セルフマネジメントの最初の一歩だと思います。自分自身について深掘りすることは、思い付きではできません。チームタクトを使い、言語化して書き、人に共有することに意味があると考えています。
社員やパートナーの考えと行動が可視化 思い込みや行き違いがなくなる
―チームタクトのどのようなところに魅力を感じますか?
まず、経営者として、社員やパートナーのシートを見て、行動や考えていることを把握できることは大きな魅力です。みんなが考えていることが分かると安心します。私の想いを伝えたり、改善点に気づいたりしてほしいという考えから、コメントも書きチームタクト内でもコミュニケーションをとります。みんなよく働いてくれているので、感謝の気持ちを伝えることもあります。
スマ-トフォンからもほかの人のシートを見やすいので、移動中や隙間時間に見ていますね。
チームタクトを見るだけで、人となりが分かることも良いと思います。
協業するうえで、相手のゴールを把握することは大事です。ゴールがわかっていれば、その人が何にフォーカスしているかがわかり、ゴールに向かって一緒に走れます。シートで言語化されているので、思い込みがなくなり、相手との行き違いもなくなります。得意不得意もわかり、コミュニケーション上でも気を付けるので、関係の質が向上しやすいのです。
そして、入力のしやすさも魅力です。画像の貼り付けやデコレーションもできるので、書き方にも人となりが表れます。
私は、読んだ本の共有などにも使っています。
G-POPぐるりで協業を加速
―今後、G-POPぐるりやチームタクトを活用して、どのようなビジョンに向かっていきたいと考えていますか?
G-POPぐるりもチームタクトも、仕事に組み込まれています。
今後、さらにいろいろな会社や人とG-POPぐるりを使って協業を加速していきたいと思います。また、資産管理はG-POP方式で行うことで、とてもスムーズにいきます。日本では資産管理でコーチングを受けることはまだあまり一般的ではありません。世の中に、G-POP方式の資産管理を広げていきたいと思っています。
関係者と良好な関係性築きたいマネジメント層におすすめ
―G-POPぐるりやチームタクトをどのような人や組織に勧めたいと思いますか?
コミュニケーションスキルを高めたいマネジメント層、一緒に働いている人のことをよく知らない人にお勧めしたいと思います。
G-POPぐるりを続けると、HR領域のコミュニケーションスキルを養うことができます。訓練しないと得られないスキルが、G-POPぐるりで対話することにより自然と身に付くのです。
プライベートについて聞きにくい時代ですが、プライベートを共有されていると理想的なマネジメントにつながります。G-POPぐるりでは、自然とプライベートについても開示するようになり、メンバーについての理解が深まります。
マネジメント層以外でも、一緒に働いている人のことをよく知らないケースは多々あるでしょう。G-POPぐるりでは、相手の人となりを知るとともに自分のことを知ってもらえることにもなります。相手の価値観を理解して接することができるので、仕事が円滑に進みやすくなるのではないでしょうか。
(注)
▼G-POPとは
「G-POP(ジーポップ)」とは、株式会社リクルートテクノロジーズの元代表取締役社長であり、株式会社中尾マネジ メント研究所代表の中尾隆一郎氏が提唱している、高業績を挙げ続けられる人・組織の振り返りの型です。
「G-POP」とは、以下の4つの頭文字をとった造語です。
・ Goal(ゴール・目的)
・ Pre(事前準備)
・ On(実行・カイゼン)
・ Post(振り返り)
高業績を挙げ続けられる人・組織は、常に Goal を意識し、Pre(事前準備)に時間を使い、柔軟に On(実行・修正) を行い、Post(振り返り)から成功・失敗のポイントを学び、仕事の成功確率を高めるとしています。
▼G-POPシートとは
G-POPの内容を記入するシートです。

▼グループリフレクション(ぐるり)とは
グループリフレクションとは、ファシリテーターの進行に沿い、個人が経験したことや気付いたことを共有し、グループで対話を通じて内省(リフレクション)を深める手法です。
発表者が行った振り返りの内容に対し、他の参加者が感じたことを伝えることで他者の視点に触れ、新たな気づきや学びを得ます。テキストや口頭で言語化することでお互いの業務や考えに対する理解を深め、関係性を構築・強化します。チームタクトではグループリフレクションを通じて、個人の内省力の向上と相互理解を深める場づくりを行う支援を行っています。