概要

  • 新型コロナウィルスの影響で約300名の新⼊社員研修をオンライン化・個⼈ワークやグループワーク等でチームタクトを活⽤し、研修のインタラクティブ性を実現
  • 研修後の30分間の振り返りで、相互評価を通じた「学び合い」を実現・配属後もチームタクトの振り返りを活⽤し、横断的かつ継続的な学びの機会を⽬指す

NTTコミュニケーションズでは、今年度の新⼈研修をオンラインで実施。約300名を対象とした新⼊社員研修の企画を担当した⼈材開発部⾨の安⽥真由⾹さん、奥⼭亜美さん、⼩林友道さん(所属は取材時点)にお話を聞きました。

人材開発部門の安田真由香さん、奥山亜美さん、小林友道さん(所属は取材時点)

300⼈が参加するオンライン研修の実現に向けて

まずはチームタクト導⼊のきっかけについて教えてください。

(安⽥さん)新型コロナウィルスの影響で、予定していた新⼊社員研修を全てオンライン化する必要が出てきました。オンラインで利⽤できるツールの検討も含め、2⽉末から本格的に検討を始めました。

グループ会社も含めて6社合同での研修だったのですが、グループ全体で共通した仕組みを使う必要がありました。その点で、チームタクトはブラウザベースで利⽤ができたので、導⼊もスムーズに出来たと思います。実際、新⼊社員の皆さんにも気軽に使ってもらうことができました。

6社合同でどのくらいの規模の研修だったのですか。

(安⽥さん)約300⼈です。他社でチームタクトを使ってグループワークも含めた研修を数百⼈規模で実施した実績があると聞き、参考にしました。

チームタクト導⼊の決め⼿は何でしたか。

(⼩林さん)協働学習、学び合いの要素を取り⼊れることができる点です。オンライン研修といっても、単なる⼀⽅向のインプット型研修ではなく、同期同⼠でお互いの考えや視点に触れることで新たな気づきを得たり、プロジェクト型のグループワークでアウトプットできるといった、インタラクティブな研修を実現したいと考えていました。チームタクトを活⽤すれば、そのような研修が実現できると考え、導⼊に⾄りました。

また、チームタクトのログを元にした研修参加者の持つ⼒などついての分析ができるといった点にも関⼼がありました。(※コードタクト注釈:オプションのサービスとなります)

毎⽇の体調管理、理解度テスト、グループワークと様々な場⾯でチームタクトを活⽤

研修の場⾯でどのようにチームタクトを活⽤していただいたのでしょうか。

(奥⼭さん)4⽉からゴールデンウィーク明けまでの24営業⽇を使って全てオンラインで研修を⾏ったのですが、様々な場⾯でチームタクトを活⽤しました。

⼀つは、コロナ禍ということもあり毎⽇の体調管理で利⽤しました。約300⼈の参加者がいると出⽋やそれぞれの体調状態をオンラインで毎⽇把握し、必要に応じてフォローすることだけでも⼤変です。そこでチームタクトでフォーマットを作り、出⽋確認も兼ねて毎⽇研修参加前に体調を記⼊し提出してもらいました。チームタクトでは参加者の回答をリアルタイムで⼀覧で⾒ることができるため、全員の状況を簡単に把握することができました。

図1)体調管理シートの一覧画面

緊急事態宣⾔が出ていたタイミングでしたよね。その他にはどんな使い⽅をされていましたか。

(安⽥さん)新⼊社員研修のプログラムの中には、会社の制度説明といった講義型のものや、個⼈/グループで取り組むワーク型のものがありますが、そのどちらにもチームタクトを活⽤しました。

ではまず⼀⻫講義型での活⽤⽅法を教えてください。

(安⽥さん)従来の集合型の研修では、講師が⼀⽅的に話す座学形式だと集中⼒が⽋けてしまったり、⼀⼈⼀⼈の理解度を確認できないという課題がありました。そこで今回は、例えば30分の講義であれば、そのうち講師が話す時間を25分とし、最後の5分を内容理解確認のためのテストの時間に充てました。受講者には最後に確認テストを⾏うことを伝え、講義終了後にチームタクトでテストを配布します。そうすることで、集中⼒も保たれ、本⼈の理解も深まったと感じます。

⼀般的に、オンラインでは集合型の研修よりもさらに集中を保つのが難しいという指摘もありますが、チームタクトを活⽤することでオンラインでも集中⼒を保つことができたのですね。理解度の確認テストがあることで聞いて終わりにならない点も良いですね。

図2)チームタクトを使った座学形式の研修イメージ

(安⽥さん)そうですね。講演を聞くタイプの研修でも聞いて終わりにならないよう⼯夫しました。講演を聞いた後にWEB会議システム上でグループごとに分かれ、気づいたことや疑問に思ったことを話し合い、チームタクト上でグループとしての考えをまとめるようにしました。最後に全体のセッションに戻り、グループ内で出てきた質問を実際に講演者にぶつけるという流れで進めたのですが、このやり⽅で例年に⽐べて質疑の量も各段に増えたと感じました。

図3)チームタクトを使ったグループワークのイメージ

そうなんですね。グループワークで何か気をつけた点はありますか。

(⼩林さん)チームタクトでは「共同編集モード」に設定することで複数⼈で⼀つのシートを編集することができるのですが、グループワークではその機能を活⽤しました。ただ、新⼊社員研修なので受講者同⼠は初対⾯です。誰のシートに記⼊すれば良いかわからなくなってしまうケースがあったため、代表者のシートがどれか特定しやすいように、⼀枚⽬に表紙をつけてもらうようにしました。そうすることで、講師側からも誰のシートをチェックすれば良いか⼀⽬瞭然でした。

アウトプットからの「学び合い」を促すツール

チームタクトを使ってオンライン研修をされてみて、いかがでしたか。

(奥⼭さん)チームタクトの操作については、初⽇にチュートリアルをすることで皆すぐに慣れたようでした。実際のお客様を想定し、グループでソリューションを提案するというプロジェクト型の課題を2.5⽇間かけて⾏ったのですが、例年の集合型研修に劣らないアウトプットを出せたと思います。オンラインでもインタラクティブなグループワークを実現できると実感しました。受講者側も、オンラインでグループでのディスカッションを⾏いアウトプットを出せた点に満⾜していたようです。

図5)チームタクト上で作成されたグループワークの成果物

毎⽇の振り返りにもチームタクトを活⽤されたそうですね。

(奥⼭さん)はい。研修の最後の30分は振り返りの時間とし、YWT(やったこと・わかったこと・次にやること)のフレームワークを使い、チームタクト上に毎⽇振り返りを書いてもらうようにしました。振り返りシートは、「共同閲覧モード」にしておくことで他の⼈の振り返りを閲覧できるように設定し、書き終わった後はお互いに「いいね」やコメントをしてもらいました。⼈事でも担当を割り振り、いいねやコメントをしながら毎⽇フィードバックも⾏いました。

他の⼈が感じたことや、学び、気付きを知ることができるということですね。

図4)振り返りシートに「いいね」やコメントが集まる

(安⽥さん)はい。お互いに閲覧し「いいね」やコメントし合うことが刺激になったようで、振り返りの記⼊量も⽇に⽇に増えていきましたし、書き⽅にも変化が⾒えました。「共同閲覧モード」を活⽤することでお互いに「学び合う」ということがかなり実現できたと思います。これまでも学び合いは意識していましたが、「学び合う」と⼝で⾔うのは簡単でも、それを促すツールはなかなかないと感じていました。学び合いを促進することができるのが、チームタクトの良い点の⼀つだと思います。

図6)チームタクトで促進される受講者同士の学び合い

学び合いを促進するツールとして活⽤していただいたのですね。

(安⽥さん)研修の後半は、⼀週間の⾏動計画を⽴て、やると決めたこと、結果、振り返り、次のアクションという形式で振り返りを⾏っていました。今回の研修に参加した新⼊社員は、研修を終えて各部署に配属された後も、チームタクトを使った振り返りを継続しています。別の部⾨で働いていても、お互いに何をやっているかがわかると刺激になるのではないかと思っています。お互いに学び合い、⾼め合う姿勢はこれからも⼤事にしていきたいですね。

図7)研修後半から配属後まで活用されている振り返りシート

研修だけで終わらない。継続的な学びのプラットフォームとしてのチームタクト

今後、チームタクトをこのように活⽤していきたいなどの計画はありますか。

(奥⼭さん)⼀つは、⾏動計画と毎⽇の振り返りを続けているので、これを、9⽉と来年2⽉に予定されている全体での研修で振り返りたいと考えています。本⼈たちの1年後の振り返りの題材となるような、継続的な教育機会の提供と捉えています。研修だけでなく常に使うツールにしていきたいですね。

配属後も拠り所となるものがあるのはとても良いですね。

(⼩林さん)弊社では全社の⼈事の他に、各組織にも育成担当がいます。各部署の育成担当にもチームタクトのアカウントを渡し、現場にも新⼊社員の様⼦を⾒せたり、上⻑やトレーナーがYWTなどのアウトプットを⾒られるようにしています。

また、まだ浸透しきってはいないのですが、上⻑も⾃分のチーム以外の新⼊社員のアウトプットにコメントできるなど、みんなで新⼊社員を育成できる環境づくりをしていきたいと考えています。同期同⼠の学び合いに加えて、上⻑や他の先輩からの影響も受けながら成⻑を⽀援していきたいと思っています。

分析にも関⼼を持っていらっしゃるとのことでしたね。

(奥⼭さん)はい。ワードクラウド機能は、受講者の使った単語が視覚的に確認でき、受講者全体の中で多く使われた単語が中⼼に⼤きく表⽰されるのでとても⾯⽩いと感じました。誰が「いいね」やコメントされていて、誰がしているのかが⾒られるのもいいですね。

継続して利⽤していくことでチームタクト上に1年間のログが残っていくので、ゆくゆくはそれを元にした分析も⾏っていきたいです。分析結果からその⼈の状況や思考のタイプに合わせたコンテンツの提供などにもつなげられると良いと考えています。