<お話を伺った方>
株式会社コスモ 代表取締役社長 佐生直大さん
同 北海道工場長 柴山進一さん
同 IT部 永井聡子さん
(以下、敬称略)

1969年に誕生した食品素材メーカー株式会社コスモは、2020年にITソリューション事業を吸収合併し、フード・ライフサイエンス事業とITソリューション事業の展開を始めました。事業拡大を目指し、同社取締役社長 佐生直大さんは創業時からの経営理念「未利用資源の有効活用」を発展させ、食品事業とIT事業、ALLコスモとしての新たなパーパス「食とテクノロジーで拓く豊かな未来」を掲げました。このパーパスの実現に向け、創業60期に向けた中期経営目標も策定。全社員一丸となって目標を達成するために組織強化にも注力しています。佐生さんが中尾塾に参加したことをきっかけに、組織力強化にチームタクトを使ったG-POP®グループリフレクション(以下、G-POP®ぐるり)(※1)を社内に導入。その後、チームタクトを会議の事前準備や研修レポート、個人の目標管理にも活用し、「中期経営計画の達成」という目標に着実に近づいています。佐生さんと、社内でG-POP®ぐるりの導入・運用を担当している北海道工場長 柴山進一さん、IT部 永井聡子さんにお話を伺いました。

実施概要
対象者:本社社員、北海道工場社員
参加人数:約34名(2024年8月現在)
スケジュール概要
2022年1~5月 「爆伸びマネジメント」実践講座に参加
2022年8月~ 中尾塾参加
2022年9月~ 社内でG-POP®ぐるり展開スタート

概要

<課題>

  • テレワークが中心で、互いの仕事の様子が見えずコミュニケーションがうまくできていなかった。
  • 会議が、議論の場ではなく、各部門長が資料を持ち寄って進捗を発表する場となってしまっていた。

<活用成果>

  • メンバー同士のコミュニケーションが活性化し、お互いの理解度が深まっている。
  • G-POP®ぐるりの取り組みを土台に管理職の会議も進化させた。会社・部署・個人それぞれの歯車がうまく嚙み合って回りはじめた。

<チームタクト活用のポイント>

  • G-POP®ぐるりだけでなく、グループリフレクション、会議の事前準備、研修レポート、目標管理などチームタクトを多面的に活用。     

G-POP®ぐるりの仕組みに共感 面白さを共有したいと社内で展開

中尾塾に参加した経緯を教えてください

佐生:中尾さんのオンライン対談を聞いたことがきっかけです。当時、60期に向けて事業拡大が必要な状況で、新たな学びを得たいと考えていました。
この対談を聞いてG-POP®ぐるりに興味を持ち、「爆伸びマネジメント」の実践講座に参加しました。

そこで、異なる立場や業界の人とコミュニケーションできるG-POP®ぐるりに実際に参加して魅力を感じたのです。また、中尾さんの書籍を読み、もっと中尾さんから学びたいと思い、中尾塾に参加することにしました。

自社でG-POP®ぐるりを導入した理由を教えてください。

佐生:私自身が体験してみて、面白いと思ったからです。G-POP®ぐるりでは、他者の考えを聴くことで、それまで見えていなかったことが見えるようになります。社員にも、新たな視点を得る体験してほしいと考えました。

また、本社社員はテレワークが中心で、ほかの人がどのような仕事をしているか見えにくい状態でした。G-POP®ぐるりによってコミュニケーションが活性化すれば、互いの仕事を把握でき関係性も向上するのではないかという期待もありました。

とはいえ、トップダウンで参加を強制するのではなく、興味を持った人が参加するのが良いと考えています。まずは興味を持って参加しやすそうな部署のリーダーに声をかけ、スタートしました。

各部門リーダーのトライアルを経て全社へ 希望者が参加

G-POP®ぐるりをどのように展開していますか。

佐生:まずは、私がファシリテーターとなって、生産管理部、研究開発部、食品営業部、IT部のリーダーと始めました。参加したリーダーたちからも「見えていなかった他者の仕事が見えるようになった」「感謝が生まれた」「気づかなかった自分の一面に気づいた」など好評でした。そこで、まずは部署ごとからスタートし、現在は本社、北海道工場の部署混合で行っています。

最初は私がファシリテーターとして全グループに参加していました。メンバーが慣れてきたころ、ファシリテーターをリーダーに任せて行うことにしました。今はリーダーを各グループで決めて、ファシリテーターは輪番制で行っています。

導入時、課題となったことはありましたか?

永井:社長が「やってみよう」と言うので、特にネガティブに捉えることなく始めました。社風として「挑戦してみたら良いことがあるかもしれない」とチャレンジする雰囲気がありますからね。

柴山:北海道工場のメンバーからは、「パソコン操作に慣れていない」「どのようにシートを書いたら良いかわからない」などの意見がありました。しかし、一覧性に優れたチームタクトでG-POP®シート(※2)を共有することで、他者のシートを見にいきやすく、どのように書くと良いかを学び合うトレーニングになっています。書くことに慣れていないメンバーも、少しずつ変化しているように感じます。参加しているメンバーからは「シートに記載することによって業務の進め方が変わった」などの意見も出てきています。

チームタクトでタスクと行動を共有 会議や研修でも活用

G-POP®ぐるりにチームタクトを使っていることで、どのようなメリットがありますか。

柴山:工場メンバーが使うことのメリットは、メンバーそれぞれの業務を共有できることです。共有することにより、お互いの理解度が深まっていると感じます。今後は、コメント入れたり、「いいね」したりをより一層促進できると、よりコミュニケーションが活性化するのではないでしょうか。

管理職としても、社員の行動内容を把握できるのは助かっています。

佐生:私も、チームタクトを確認することで、みんなのタスクや進捗を把握できるようになりました。それを見て、私自身がどう動くと良いか判断できるようになったことは大きなメリットだと思います。

シートが消えずに残ることもいいですね。チャットやメールだと、書いたことが流れていってしまいますが、チームタクトは後から見返すことができます。シンプルにコミュニケーションツールとして使いやすいのです。

現在、G-POP®ぐるり以外でもチームタクトを活用していますか。

柴山:G-POP®ぐるりで発表する自己紹介シートも使っています。これも、みんなで共有しやすいのがいいですね。

佐生:2024年8月から、月次の経営会議もG-POP®ぐるりのスタイルで行うことにしました。部署リーダーが事前にチームタクトに記入し、それに対して他部署のリーダーや私が質問を書いたり、意見を伝えたりしています。

G-POP®ぐるりで進捗を共有することで、会社・部署・個人の動きが合っているかが分かるようになりました。また、毎週チームタクトに記入するので、それぞれがゴールを意識して行動ができるようになっています。それにより、「中期経営計画の達成」にも近づけていると思います。

永井:社内のWeb研修でもチームタクトを使っています。気づいたことやレポート提出を、チームタクトで行っているのです。社長からのフィードバックがあったり、参加者同士でシートを見られたりと、研修後に視野が広がっています。

カレンダー自動的に生成された説明

チームタクトの使いかたについて、サポートはありますか?

佐生:定期的に、新機能やリニューアルがあった際に使い方をご説明いただいたり、活用方法の意見交換を行っています。

最近では、「個人の目標管理にチームタクト活用できないか」とご相談し、活用方法のご提案をいただきました。

柴山:工場は毎年の個人目標を、Excelのシートで管理していました。面談のときにチームタクトを使えると便利だと考えたのです。北海道工場のメンバーから順次、チームタクトを活用していくことになりました。

ほかにも、困り事があった際に相談すると、チームタクトを活用した解決策を提案していただいています。

参加者個々が成長 会社・部署・個人の歯車が噛み合う

G-POP®ぐるりを行うことによって、どのような効果を感じていますか。

佐生:最も大きな変化は、「中期経営計画の達成」という目標が現実的になったことです。G-POP®ぐるりを始めて、目標達成のために、各部署や個人の行動を具体的に考えられるようになりました。

また、会議でのもめごとが減りました。G-POP®ぐるりによってコミュニケーション機会が増え、他者の考え方への理解が深まったこと、共通言語ができたことが理由だと思います。例えば、製造部と営業部は物事を反対側から見ていますが、相互の考え方を知り歩み寄れるようになりました。

柴山:G-POP®ぐるりに参加している社員は、自分で目標達成のための計画を立てて行動できるようになっています。全員がそうなると、会社としてさらに成長するのではないでしょうか。

佐生:今年6月の面談では、個人の成長も感じました。当初、G-POP®ぐるりをネガティブに捉えていた社員が、「続けるうちにセルフマネジメント力が向上した」と話していました。また、G-POP®ぐるりに参加することで、業務を円滑に遂行できるように成長した社員もいます。

パソコンのスクリーンショット中程度の精度で自動的に生成された説明

中期経営計画の達成を目指し、G-POP®ぐるりで進捗管理

今後の課題や目標、G-POP®ぐるりやチームタクトを活用して実施したいことはありますか。

佐生:経営会議でのG-POP®ぐるりの活用を続けていきたいと考えています。まだ始めたばかりですが、毎週G-POP®ぐるりで進捗を共有することで、今後さらに会社・部署・個人それぞれの歯車がうまく嚙み合って回り、加速していくと期待しています。

柴山:コメントや「いいね」などのリアクションは、モチベーションアップにもつながるのではないでしょうか。まだ使いこなせていませんが、うまく使えている若い社員もいます。彼らが皆みんなに使い方を教えて、普及させていきたいですね。

書くことに苦手意識を持っていて、G-POP®ぐるりに参加していないメンバーもいます。チームタクトの「回答一覧機能」を使って、他者から学ぶことで、G-POP®ぐるりの参加者が増えていくことが理想です。

佐生:社員みんなに参加してほしい想いはありますが、強制はしたくありません。参加して成長した仲間を見て、自分も参加するという流れをつくれたら良いと考えています。 

柴山:年間の目標管理を毎週のG-POP®ぐるりと連動させられることになったので、どのような効果を発揮するかも楽しみです。

G-POP®ぐるりや研修レポートの内容にAIでフィードバックを受けられるチームタクトの「振り返りAI分析」機能も、最近新たに利用し始めました。客観的なフィードバックを受けることで、自身の行動をあらためて振り返り、次の目標につなげられるのではないかと思っています。

永井:毎年、自分の目標を提出していますが、ほかの人の目標は把握していません。チームタクトを使えば、目標を共有でき、サポートし合って仕事に取り組めるのではないでしょうか。G-POP®ぐるりは他部署のメンバーと行っていますが、部署メンバーのチームタクトも見て、組織の成長につなげていきたいと考えています。

佐生:チームタクトを使うことで、少ない管理コストで会社全体の動きを把握し、各自が行動をマネジメントできるようになっています。 個人という小さい歯車がみんな同じ方向に回り、それによって組織・会社の大きな歯車もうまく回るようになり、中期経営計画を達成できると確信しているのです。

さらに、目標を確実に達成するために「G-POP®レポート」や「G-POP®サマリ」など、新たなツールの活用も検討したいと思います。

会議でみんなが積極的に発言 組織文化を変えたい人にG-POP®ぐるりを勧めたい

G-POP®ぐるりとチームタクトをどのような組織・人に勧めたいと思いますか

佐生:働いているすべての人に良いものだと思いますが、特にチームで動いている人、組織の文化を変えたいと思っている人にお勧めしたいです。

G-POP®ぐるりには、会社の文化や考え方が自然と浸透する力があります。例えば、以前は会議での発言者が限られてしまっていましたが、みんなが積極的に発言するようになりました。チームで働いている人は、その変化を感じられると思います。

 柴山:工場勤務の社員のように、普段書く機会が少ない人にはスキルを身に付ける場になると考えます。チームタクトで他者の書いていることが共有されるので、それを見ながら書いていくうちに、計画を立てて書けるようになるのではないでしょうか。実際に、学びながら成長している社員も多くいます。苦手だと決めつけずに、参加してみてほしいと思います。

(注)

※1 G-POP®グループリフレクション(G-POP®ぐるり)

<特長>
・4人1組で毎週1時間、専用のG-POP®フォーマット(※2)に記載して順番に発表・感じたことをコメントし合うことで、それぞれのゴールに向けた、定期的で、質の高い振り返りによるセルフマネジメントの習慣化を支援します。
・メンバー同士のコメントから自分1人では得られない気づきを得られます。
 ハイパフォーマーの仕事の進め方であるG-POP®をフォーマット化。記載することで、ハイパフォーマーの仕事の進め方が習得できます。

※2 G-POP®フォーマット

ダイアグラム自動的に生成された説明