<お話を伺った方>
中尾判断塾事務局 中川純子さん 千木良直子さん
ビジネスパーソン向けのオンライン私塾「中尾判断塾」は、チームでの相互交流を通じて、主体的に自信を持って判断ができるリーダーを育成しています。チームタクトで非同期コミュニケーションを促進し、心理的安全性を確保しながら、お互いの自律自転を支援しています。事務局の千木良直子さん、中川純子さんに、データ分析に基づいた効果的な研修サポートについて伺いました。
概要
<課題>
- 研修全体を活性化し、研修効果を高めたい
- 研修サポートの効率化と効果を向上させたい
<活用成果>
- 数字とグラフを用いて、受講者の活動を事実ベースで把握。データの活用により、どのようなサポートを行えば良いか判断の裏付けを強化
- 全体または個別に適切なサポートを行うことで研修を活性化し、参加者の相互関与のモチベーション維持を実現
<チームタクト活用のポイント>
- 非同期でも「いいね」や「コメント」を通じた交流で心理的安全性が向上し、学び合いを促進。
- メンバー同士の関わり合いのログを活用し、状態を分析。研修フォローの仮説検証が容易に。
自らの判断に自信が持てる人・リーダーに必須の「判断軸」を磨く
ー中尾判断塾とは何ですか?
中川:中尾判断塾は、株式会社中尾マネジメント研究所(以下、NMI)の中尾隆一郎代表が主宰するビジネスパーソン向けのオンライン型私塾です。企業から派遣された若手リーダー層と、自分が大事にしている価値観の言語化=「判断軸」に関心のある自主参加者が受講しています。派遣元の企業からは、指示待ちではなく、自分の判断に自信を持つ社員が増えていると好評を得ています。
中尾判断塾は、相互交流により仲間と切磋琢磨することを大事にしています。 一人で考えるより、何倍もの気づきが生まれて、軸づくりが加速するのです。受講者は、「私ならこう思う」と、相互に率直に伝え合っていきます。
チームは、属性が異なる受講者4人で編成しています。月1回のZoomミーティングと、毎週配布されるワーク(※1)に取り組むことで、自分の判断軸を作り上げていきます。
判断軸を意識したコミュニケーションの実践演習
ーチームタクトの導入にはどのような意図がありましたか?
中川:背景には中尾代表の「幸せな人・組織づくりを支援したい」という想いがあります。NMIは、自分の判断軸に基づいて自律自転する人・組織づくりを支援しています。
自律自転とは、自分で考えて自分で行動し、成果を出し、振り返るサイクルを回せる状態です。幸せな人や組織は自律自転しています。心理学者のカール・ロジャースが論じたように、人が幸せを感じるのは、自分で自分のやることを決められるときなのです。
チームでの研修(以下、チーム研修)を行うのは、組織環境において、お互いの判断軸を意識したコミュニケーションの実践演習をして欲しいからです。お互いの取り組みを閲覧してコメントし合うことが効果的なので、チームタクトがまさに最適な研修支援クラウドであると考えています。
チーム内外の交流を促進する非同期コミュニケーション
ーチームタクトを使って良かったことは何ですか?
中川:チーム研修を進める上で、月1回のZoomミーティング(以下、フィードバックミーティング)以外は、チームタクトで行う非同期コミュニケーションが研修の効果を高めています。テキストベースでの関わり合いができ、チームタクトでの交流が活性化すると、フィードバックミーティングもさらに盛り上がるのです。
受講者は、「いいね」ボタンやコメント機能など、自分に合った方法を選んで非同期コミュニケーションに参加しています。回答一覧画面や、入力シートの右上に表示されるベルマークで、ほかの受講者から「いいね」やコメントが来ていると、自ずとモチベーションが上がるようです。
運営面では、個々の受講者の取り組み状況だけでなく、チームの状態を俯瞰できるところにメリットを感じます。相関図やCSVデータ利用で、チームビルディングできているか、チームを越えた交流が生まれているかをつかむこともできます。
いいね・コメントなど、学び合いを積極的に推奨
ー事務局としてどのようなフォローをしていますか?
中川:受講者が学習の効果を高め合いながら、最後まで共に走りきってもらえるよう、事務局として関わらせていただいています。
開講前に、チームタクトで自己紹介を提出していただき、事務局メンバーからコメントを差し上げます。チームタクトで、自分のアウトプットにコメントがもらえる喜びを体験してから、開講を迎えていただけるのです。
開講キックオフミーティングでは、チームタクトの機能をお伝えしています。特に、「いいね」とコメントを推奨しています。「いいね」ボタンを押すことで、閲覧した相手に「見守っていますよ」というサインになること、コメントし合うことでさらなる気づきが得られ、判断軸磨きが進むとお伝えしています。
キックオフミーティングで、中尾代表からも、「こちらからのコメントにリアクションがないと寂しく、モチベーションが落ちてしまうので、『いいね』やコメント機能を使ってリアクションくださいね」との率直な言葉をいただいています。
千木良:この場面は、毎回、非常に印象的です。講師自らが本音を開示することが、受講者と講師の間における心理的安全性の確保に大事だということを、中尾代表に自らの行動で見せていただいています。
中川:講師自らが弱みを見せることで親近感や安心感がわきますよね。本音を話してくれたし、ぜひやってみようと受講者は能動的になれるのではないでしょうか。
数値化し活性状況を把握 サポート介入の判断材料に
ーチームタクトをどのように活用していますか?
中川:事務局では、以下の7項目に関して、受講者の状況を数値で把握することに取り組んでいます。どれだけ達成できているか、以前は感覚的な解釈に留まっていました。現在はチームタクトでログがとれるため、数字をグラフ化して見ることで、事実ベースで把握できています。問題があれば改善したり、必要の有無に応じたサポートを講じられるようになりました。
- 課題のコメントを受けた数
- 課題のいいねを受けた数
- ほかの生徒の課題閲覧数
- コメントした回数
- 課題へいいねした回数
- コメントへいいねした回数
- 関係性スコア
3期までは、8名の参加者に対して、個別に事務局が対応していました。特定の参加者について、「取り組みが低下しているように思う」といった感覚的な解釈がありましたのでチームタクトの相関図でほかの参加者との交流がどのようになっているかを確認しました。すると、実際に関わりが少ないという事実を把握することができました。
4期は受講生が12名になり、個別対応が難しく、数値での把握に乗り出しました。回答一覧画面から、もらったコメント数といいね数を拾って、表に手入力していました。この労力を軽減できないものかとコードタクト社に相談したところ、CSVデータの活用を教えていただいたのです。
5期は、各項目の数値データをCSVで取り込み、グラフ化したことで、全体の傾向がひと目で分かるようになりました。
当時、全体的に尻すぼみだと感じていた事務局の感覚とグラフが一致し、自分たちの感覚的な解釈を事実で裏付けでき、納得感を得ました。数字とデータで実態把握ができるようになったことで、研修フォローの仮説検証がまわしやすくなりました。
5期の参加状況を踏まえて、開講期の中盤のフィードバックミーティングでは、チームメンバーを入れ替えて対話を行ってもらうことにしました。
6期からは、チームメンバーを入れ替えました。8週目のワーク提出後のタイミングです。上のグラフでは、その翌週のワークで、課題のコメントを受けた数、コメントへ「いいね」した回数が顕著に伸びていたことが分かります。回を追っても尻すぼみにならず、安定して活性化していたと言えます。
最小限の労力で最大限の効果を発揮
ー研修の活性化のためにどれくらい業務負担がありますか?
中川:打ち手の効果が出ることで、大変さや負担感よりも楽しさとやりがいをより強く感じています。ログ分析は、慣れてしまえば15分程度でできます。観測項目についてチームタクトからダウンロードしたCSVデータをグラフ化するだけです。グラフは事実と解釈を添えて事務局のミーティングでお伝えしています。
数字やデータでは、サポートすべきことを見つけるだけでなく、しっかり取り組めている人の状況も分かります。あえて「介入しない」選択をする判断材料にもなるのです。やらなくていいことはやらなくなりますので、むしろ効率化できているのではないでしょうか。余計なサポートをしすぎないことも大事です。
AIと効率化で研修フォローを強化
ー 今後、チームタクトをどのように使っていきたいですか?
中川:チームタクトで可視化できるデータの分析を用いて、効果的に皆さんの学びにつながるようにしていきたいです。AI活用もその1つです。
数値データで事実を把握し、研修フォローを試していく中で仮説を検証していき、「効果があった!」の実感を大事にしていきたいです。コードタクト社の担当の方には、自分たちが運営面での問題を定義し、仮説を持てば、検証のための材料を出せることも多いと伺っています。
今後、研修全体の活性化に貢献した受講者に感謝の意を表す場面もつくり、モチベーションアップにもつなげていただきたいと思っています。
チーム研修や大人数の研修、組織の関係づくりにファクトの見えるチームタクトが有効
ーチームタクトをどのような人・組織に勧めたいですか?
中川:チーム研修の効果を最大限に高められる支援クラウドをお探しの組織には、ぜひチームタクトを使ってみて欲しいです。
まず、相互交流の場を設けたい組織にお勧めします。コメントし合うことで新たなチームや部門を越えた斜めの関係づくりも期待できると思います。閲覧したら「いいね」の送り合いを推奨することで、お互いに見守り合う温かさを醸成できます。
また、継続的な研修にもお勧めです。チームメンバーを入れ替えたりするなど、中だるみに対策が打てます。
さらに、研修人数を増やしたい組織にも使いやすいと思います。短時間で数値データ分析ができるので、大人数での研修にも対応が可能です。
※1
判断軸を研ぎ澄ますワーク(判断軸のワーク)
中尾代表の著書「ビジネススキル・プリンシプル」を読んでみて感じたこと、取り入れたいことを記入するワーク